ぶにぶににゃんこさんと師匠
カテゴリ:人物・キャラクター
ぶにぶににゃんこさんと師匠とは、麓の村の時代に出会ったぶにぶににゃんこさんと、一人の人間の男性との関係を指す。師匠はぶにぶににゃんこさんに料理の基礎を教えた人物であると同時に、「楽しみを作ること」「きちんと休むこと」「自分自身を大切にすること」を教え、その後の生き方に大きな影響を与えた人物でもある。二人が親しくなったのは大旱魃が終息して間もない頃であり、当時のぶにぶににゃんこさんは再び食料不足が起きた場合に備えて自宅の地下に大規模な貯蔵庫を整備し、村長から頼まれた共同貯蔵庫の建設や、川から村へ水を引くための分流工事も進めていた。
そんなある日、ぶにぶににゃんこさんは村の市場を訪れ、店先に置かれていた見慣れない硬い野菜に興味を示した。それが、ぶにぶににゃんこさんとかぼちゃとの最初の出会いであった。当時は食べ物をそのまま食べるか火で焼く程度の調理しか知らず、醤油や煮込み料理についても知らなかった。市場の店主は、かぼちゃは硬いものの火を通すと甘くホクホクになり、保存にも適していることを説明し、ぶにぶににゃんこさんを自宅へ招いてかぼちゃの煮物を作って食べさせた。この時に食べた緑色のかぼちゃが、ぶにぶににゃんこさんにとって生まれて初めてのかぼちゃである。
初めて食べるかぼちゃの煮物を大変気に入ったぶにぶににゃんこさんに、店主は「これが料理の力だ」と教えた。さらに、旱魃の後も貯蔵庫や分流の工事を続けて毎日のように働いていたぶにぶににゃんこさんへ、人は楽しみがなければ生きられないこと、料理は生きる力になること、仕事が多少遅れたとしても自分が倒れてしまっては意味がないことを話し、「もっと自分を大事にして自分のために生きろ」「休むのも仕事のうちだ」と諭した。その後、店主はぶにぶににゃんこさんを自宅へ通わせて料理の基礎を一から教え、こうしてぶにぶににゃんこさんにとって「師匠」となった。
当時は砂糖が現在ほど簡単に手に入る時代ではなかったため、師匠は水飴を使って甘味を付ける方法や、玉ねぎをじっくり煮込んで自然な甘味を引き出す方法などを教えた。魚の下処理や調理についてもこの時に学び、それまで焼いて食べることが中心だった魚を様々な方法で美味しく食べられるようになった。また、現在のぶにぶににゃんこさんが使用している「秘伝のタレ」も、その原型はこの師匠から教わったものとされている。やがてぶにぶににゃんこさんは自分でかぼちゃの煮物やかぼちゃのスープを作れるようになり、師匠から「もしかしたら俺が作るやつよりうまいんじゃないか」と褒められ、料理について免許皆伝を認められたという。師匠から教わった「休むこと」も生活へ取り入れるようになり、無理を続けるのではなく、ごろんしながら仕事を進めるようになった。それでも任された仕事を放棄することはなく、その後、村長の家の隣には立派な共同地下貯蔵庫が完成し、川から引いた分流も無事に村へ到達した。
それから年月が流れ、師匠が倒れたという知らせがぶにぶににゃんこさんのもとへ届いた。急いで駆けつけると、師匠はすでに高齢となり、身体も大きく衰えていた。師匠は完成した村の貯蔵庫を見たことを伝え、たくさんのかぼちゃを保存できそうだとその出来を褒めた一方、昔とほとんど姿の変わっていないぶにぶににゃんこさんを見て、自分だけがすっかり老いてしまったと語った。長命なモフニャン族であるぶにぶににゃんこさんと、人間である師匠との間には、同じ年月を過ごしていても大きな時間の差が存在していたのである。
師匠は最後に、もう一度ぶにぶににゃんこさんが作ったかぼちゃのスープを飲みたいと頼んだ。ぶにぶににゃんこさんが作ったスープを飲んだ師匠は、「やっぱりお前さんは料理上手だな」と味を褒めながら、「俺にはちょっと塩味が強い」と話した。しかし、そのスープには塩は入っていなかった。その直後、師匠は器を落とし、その生涯を終えた。ぶにぶににゃんこさんは何度も師匠へ呼びかけながら、塩を入れていないはずのスープがなぜしょっぱいのか分からず、自分でも一口飲んで確かめた。スープがしょっぱくなっていた理由は、ぶにぶににゃんこさん自身の涙であった。師匠を起こすことに必死だったぶにぶににゃんこさんは、自分が泣いていることにすら気付いていなかったという。
師匠が亡くなってから非常に長い年月が経過した現在でも、その教えはぶにぶににゃんこさんの暮らしの中に残り続けている。かぼちゃの煮物を好むこと、料理を楽しむこと、魚を美味しく調理すること、秘伝のタレを使い続けること、疲れた時には無理をせずごろんして休むこと。その根には、かつて師匠から教わった「楽しみを作ること」と「自分を大切にすること」がある。ぶににゃんはこの昔の出来事そのものは知らないが、ぶにぶににゃんこさんから料理や暮らし方を教わる中で、師匠の教えは形を変えながら次の世代へと受け継がれている。ぶにぶににゃんこさんと師匠の出会いは、本格的な料理を始めるきっかけとなっただけでなく、楽しみを持ち、自分を大切にしながら生きるという現在の生き方そのものを形作った出来事であり、人間とモフニャン族の寿命や時間の流れの違い、そして短い命を持つ者から受け取ったものが長い年月を越えて受け継がれていくことを象徴する、ぶにぶににゃんこさんの長い生涯において特に重要な物語の一つとなっている。
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